駐車場トナラーは合理主義?

 また、車内や店内の座席ではなく、駐車場であえて隣にクルマを駐める「駐車場トナラー」もいる。他に空きがあるのに隣に駐車されると、乗り降りの際にドアを隣のクルマにぶつけてしまったり、クルマを出しにくくなったりするケースもあり、不快に思う人もいるようだ。

 ただ、駐車場トナラーの場合、理由がはっきりしていることが多そうだ。「日陰のスペースを選んだだけ」「子連れだから入り口が近いところに停めた」「隣に車がある方が駐車しやすい」など、多くの人が納得しそうな理由も少なくない。

ジムや温泉にも出没

 トナラーは、人が集まるところならどこにでも出没する可能性がある。例えば、スポーツジム。「ジムに行くと、他のマシンも空いているのに、わざわざ隣のマシンでトレーニングする人がいる」といった声が聞かれる。

 また、温泉など公衆浴場の洗い場でもトナラーは見られる。「他の洗い場も空いてるのに隣に来るのはやめてほしい。裸なだけに、相手が同性だとしても身の危険を感じる」といった意見も見られた。

 他にも、サウナ、役所や病院などの待合室など、トナラーが出没しそうな場所は色々と思い浮かぶ。
 
 ただ、車内や駐車場であえてトナラー行為をする人に真っ当な理由があるように、ジムや温泉などでのトナラー行為には、その人なりの理由があるのだろう。

 そもそも、相手との距離がどれくらい近づくと不快感や恐怖心を抱くのかは、個人差もある。そのため、「こうすべき」といったマナーの問題として、万人が納得するトナラー行為との付き合い方を見出すのは難しい。

「ソーシャルディスタンス」として感染予防のため他者と一定の距離を保つことが求められたコロナ禍での経験も、トナラーへの意識を高めているのかもしれない。

 隣に座られる側としても、座る場所を選ぶ側としても、相手の立場を思いやる寛容さだけは忘れないようにしたいものだ。