ガラガラの店内や電車の車内で、周りにたくさんの空席があるにもかかわらず誰かの隣に座る「トナラー」と呼ばれる人々。もちろんどこに座ろうが彼らの自由。しかし隣に座られた側からすると、なんとも言えないモヤモヤした感情を抱くことがある。トナラーはなぜ、わざわざ隣に座るのか。シチュエーションによっては相手に不快感を与えかねない行為の背景を探った。
(杉原健治:フリーライター)
嫌われがちなトナラーの真意は
「トナラー」とは、飲食店や電車の車内などで他に席が空いているにもかかわらず、あえて誰かのすぐ隣に座る人を指す。最近、SNSを中心にその行動に注目が集まり、6月23日にはXでトレンド入りを果たした注目のワードだ。
トナラーに対する評価はネガティブなものが多い。「他が空いてるのに隣に座られるのは普通に怖いんだけど」「下心があるのかなと思ってしまう」「かなり気持ち悪いよね」といった冷たい評価がSNSでは多く、ネガティブなイメージを抱いている人が多いようだ。
電車内に出没するトナラーは他人思い?
トナラーの中でも特に嫌がられるのが、電車やバスの車内でのトナラー行為だ。女性の隣に座る男性トナラーの場合は、女性側に「どうしてわざわざ隣に?」と恐怖心を与えてしまうこともあるようだ。痴漢などの迷惑行為が日々、世の中を騒がせている状況では、その意図がなくても警戒され、嫌がられてしまうのも仕方がないだろう。
ただ、SNSなどでトナラーたちの意見を見てみると、まったく悪気がないケースも少なくないようだ。「詰めて座るのがマナーだと思ってた」「下心がある訳じゃなくて、詰めて座れば後から乗ってくる人が座りやすいと思っていた」など、むしろ他人を思いやる気持ちから、他の席が空いているのにあえて、隣に座るという意見も目立った。
また「足を広げてくる人とかの隣になりたくない。このあと混んでくるから、あらかじめマシな人の隣に座っておいた」という意見や、「ドアに1番近いところに座りたかったから」「いつも座る場所を決めているから、人がいても変えないだけ」など、「隣に座る」ことが目的ではなく、「そもそもその場所がその人にとって合理的な着席場所」というケースもあるようだ。
しかしながら、「どんな理由があるにせよ、ガラガラの車内や店内で近くに座られると、男女問わず身構えるよね」といった意見は多い。