「言論の自由が保障されたプラットフォーム」

 さらに同氏は、「Xが世界の公共広場となるためには、言論の自由が保障されたプラットフォームであることが重要だ。これは、違法な発言を容認するという意味ではない。法の範囲内での表現の自由を意味する」と強調した。

 WSJによると、マスク氏は今回のイベントでXがAI(人工知能)を活用し、ユーザーと広告とのマッチング能力を向上させていることを明らかにした。しばらくXに広告を出しておらず、復帰を検討している広告主に対し「試してみる価値がある」と呼びかけた。「我々は、関心を持ってもらえるユーザーに対し広告を表示するよう注力している。改善を重ねており、大きな進歩を遂げている」と自信を示している。

マスク氏、「万能アプリ」目指すも収益化に苦戦

 マスク氏がこうしてグローバル企業に出稿を呼びかける背景には、収益の急減があるようだ。 米ブルームバーグ通信がこのほど入手したとする、規制当局への提出書類によると、23年上半期におけるXの売上高は14億8000万ドル(約2300億円)で、マスク氏が買収する前の22年上半期と比べて40%近く減少した。23年1~3月期には4億5600万ドル(約720億円)の赤字を出している。

 収益減少の大部分は、Xの広告問題に起因していると考えられる。マスク氏による買収以前のツイッターの広告収入は総売上高の90%を占めていた。

 マスク氏は、広告収入に依存しないビジネスモデルを構築しようと、様々なアイデアを出している。例えば、サブスクリプション(定額課金)型サービスの「Xプレミアム」やクリエーターの収益化を支援するサブスクサービス、個人間送金の「Xペイメント」などである。マスク氏は、幅広い機能を持つ「万能アプリ」を目指しており、特に金融分野に力を注いでいるとされる。しかし、これらはいずれも広告収入の減少を補うものにはなっていないようだ。

 ブルームバーグが今回入手した書類は、22年10月に買収されて以来、Xがいかに財務的に苦戦しているかを浮き彫りにしていると、米オンラインメディアのマッシャブル(Mashable)は報じている