「複雑怪奇」の情報をどう整理する?

 水害に関係する情報には、気象の状況と危険度を広い範囲で伝える「防災気象情報」(気象庁)のほか、住民に避難を促す行動指南型の「避難情報」(市町村)、河川の水位などを伝える「川の防災情報」(国土交通省)といった情報があります。

 ただし、情報を受け取る住民からすれば、どの機関の出したどの情報を重視すべきか、危険の迫るなかで瞬時に判断することは簡単ではありません。

 そこで2019年から避難に関する情報(市町村)と防災気象情報(気象庁)などを5段階の「警戒レベル」を用いて伝えるスタイルが始まりました。警戒レベルを数値で示す方法は火山情報で用いられてきましたが、このときから「情報が多すぎて混乱する」「いつ逃げ出せばいいのかわからない」といった住民の声を受け止め、直感的にわかりやすく伝えることに重きを置いたのです。

 さらに2021年には災害対策基本法が改正され、市町村などが出す「避難勧告」と「避難指示(緊急)」は廃止され、「避難指示」に1本化されました。

 こうした経緯を経て策定されたのが、現行の防災気象情報と避難に関する情報です。気象庁の資料によると、体系図は次のページの通りです。