AIモデル起用による問題点も

 企業がAIモデルを起用するにはメリットが多い。不倫や薬物乱用など不祥事を起こすこともなく、スケジュール調整も必要ない。時間と空間に束縛されず、いくら働かせても問題になることはない。

 一方で「生身のタレントの仕事がなくなってしまうのでは」といった懸念の声も多くある。消費者の好みに応じていくらでも容姿を変えられる上に、技術がさらに進歩すれば実在の人物と見分けがつかないほどAIモデルも確実に作れるようになる。

 また、AIは学習した素材をベースにモデルを生成するため、生成したAIモデルが実在のタレントに似てしまうケースもあり、意図せず肖像権や著作権などを侵害してしまうリスクもある。昨年、集英社がAIで生成したモデル「さつきあい」のグラビア写真集「生まれたて。」を発売した際には、「実在の元グラビアアイドルに似ている」「実在する人物の権利を侵害しているのでは」と指摘する声が上がった。

 これを受けて集英社は写真集の販売を終了。「AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」とのコメントを発表した。

 いまや企業のみならず個人でも、誰もが気軽にAIを活用できる。今後もAIモデルの活用は増えてくことが予想される。AIの活用が進むほど、そもそも人間ならでは価値とは何か、を問われるようになるだろう。