ウクライナ戦争で学んだ米軍はドローンへのシフトを加速させているが、大艦巨砲主義から抜け出すのは容易ではない(写真はグアムのアンダーセン空軍基地で離陸準備に入った「B1-B」戦略爆撃機(5月27日、米空軍のサイトより)

 ロシア・ウクライナ戦争は教訓の宝庫であり、世界各国においてこの戦争を分析して自国の防衛のために役立てている。

 例えば、ワシントン・ポスト紙の有名なコラムニスト、マックス・ブート氏は、「ウクライナの海洋ドローンの成功は米海軍に大きな教訓をもたらす」というコラムを書いている。

 その結論は、「空母は黄昏の時を迎えている。米海軍は有人の大型艦艇中心ではなく、より安価で多数の無人艦艇の調達へと舵を切る時がきた」というものだ。

 その大胆な主張には賛否両論あろうが、兵器の無人化の流れ、ウクライナで進行中の「ドローン革命」を無視することはできないであろう。

 ブート氏はまた、次のように注意喚起している。

「乗り遅れたのは米海軍だけではない。無人機から最も恩恵を受ける可能性のある米国の同盟国も同様だ」

「昨年台湾を訪れた際、台湾が無人機システムを軍に統合する努力をほとんどしていないことに衝撃を受けた」

「台湾は貴重な国防費を有人の艦艇や航空機、さらには大砲システムや戦車に費やし続けている」

 本稿においては、米国と台湾の無人機システムに対する動向について紹介するが、台湾に対する厳しい指摘は日本への厳しい指摘になっていることを気づいてもらいたい。

 なお、本稿をよりよく理解するために、6月15日付の拙稿『米軍の「ヘルスケープ」構想』も読んでもらいたい。