米アップルが、データセンター向けのAI(人工知能)半導体を開発中だと、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。スマートフォン「iPhone」などの同社製端末で提供するAI機能の処理は、端末上で行われるべきだとアップルは考えているが、高度な計算を実行するには不十分だ。同社はAI分野で後れを取るとも指摘されており、独自半導体の開発で巻き返しを図るようだ。
サーバー用AI半導体プロジェクト「ACDC」
事情に詳しい関係者によると、アップルはデータセンターサーバー上でAIソフトウエアを実行するための独自AI半導体を開発している。このプロジェクトは「ACDC(Apple Chips in Data Center)」と呼ばれ、数年前に始まったという。
設計と製造に関しては、半導体ファウンドリー(受託生産)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と緊密に連携しているが、現時点では具体的な成果を上げているかどうか分からない。関係者は、アップルのサーバー向け半導体は、AIモデルの訓練ではなく、推論と呼ばれるAIモデルの実行に特化する可能性が高いとも話している。
NVIDIA支配のAI半導体市場、自前への動き
AI向け半導体市場では、米エヌビディア(NVIDIA)が80%のシェアを持ち、先行している。米ニューヨーク・タイムズ(NYT)は先ごろ、米メタがエヌビディアから単価3万ドル(約460万円)とみられる半導体を35万個購入する予定だと報じた。総額105億ドル(約1兆6200億円)になる計算だ。こうしたなか、テクノロジー大手はエヌビディア依存からの脱却を図るべく、独自のAIサーバー半導体を開発したり、その可能性を追求したりしている。