(写真:CFoto/アフロ)

 米アップルの2024会計年度第2四半期(24年1~3月期)決算は、4四半期ぶりの減収減益だった。減収は過去6四半期で5度目。主力のスマートフォン「iPhone」が10%減少したほか、中国事業が8%の減収となった。

iPhone、3四半期ぶり減収

 同社は取締役会が、新たに1100億ドル(約16兆8300億円)の自社株買いと、現金配当の4%引き上げを決めたことを明らかにした。1株利益(EPS)は1.53ドル(前年同期は1.52ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。

 加えて、ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、24年4~6月期の売上高が1桁台前半のプラス成長になるとの見通しを明らかにした。これらを受け、24年5月2日の米株式市場の時間外取引でアップル株は一時、7%以上上昇した。

 24年1~3月期の売上高は前年同期比4%減の907億5300万ドル(約13兆8800億円)で、純利益は2%減の236億3600万ドル(約3兆6200億円)だった。

 売上高を事業部門別に見ると、全体の5割%を占めるiPhoneが、10%減の459億6300万ドル(約7兆300億円)で、3四半期ぶりの減収となった。

 パソコン「Mac」は4%増の74億5100万ドル(約1兆1400億円)で、前の四半期に続き増収を確保した。タブレット端末「iPad」は同17%減の55億5900万ドル(約8500億円)と、2桁減収が続いている。腕時計端末「Apple Watch」やスマートスピーカー「HomePod」などの「ウエアラブル、ホームおよびアクセサリー」も10%減の79億1300万ドル(約1兆2100億円)と、2桁減少した。

サービス事業14%増、6四半期連続200億ドル超え

 一方で、アプリ・音楽・動画配信などのサービス事業の売上高は前年同期比14%増の238億6700万ドル(約3兆6500億円)で、引き続き過去最高を更新した。同部門の200億ドル超えは6四半期連続で、アップルの全売上高に占める比率は26%に上昇した。

 同社は、アクティブデバイスの台数が全製品および地域セグメントにおいて、過去最高を更新したと明らかにした。これはiPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどの世界で稼働中の同社製機器の台数である。ルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は声明で、「その結果、事業業績も向上し、EPSが(1~3月期として)過去最高を更新した」と説明した。今後も稼働デバイスの規模を生かし、サービス収入の拡大を図る考えだ。

 ただし、アップルにとって、米国や欧州などの規制当局の動きが懸念材料になっている。規制当局はアップルの市場における競争力について監視・調査を強化している。

 米司法省は24年3月、アップルが米国のスマホ市場で違法な独占状態を維持しているとして提訴した。、欧州連合(EU)では24年3月からデジタル市場法(DMA)の本格適用が始まった。規制当局は、アップルがこの新法を順守しているかどうかについて調査している。

アジアで大きな落ち込み、中華圏8%減収

 24年1~3月期の売上高を地域別に見ると、米州が前年同期比1%減の372億7300万ドル(約5兆7000億円)、欧州が1%増の241億2300万ドル(約5兆7000億円)だった。

 これに対し、アジア地域では大きく落ち込んだ。香港と台湾を含む中華圏は8%減の163億7200万ドル(約2兆5000億円)、日本は13%減、その他アジア太平洋地域は17%減少した。

 香港の調査会社カウンターポイントリサーチによると、24年1~3月期の中国におけるiPhoneの販売台数は前年同期比19.1%減少した。これに対し、中国・華為技術(ファーウェイ)は69.7%増加した。アップルの中国でのシェアは1年前に19.7%あり、首位だったが、この1~3月期は15.7%に低下し、3位に後退した。

CEO、中国事業の不振を否定 6月にAI機能発表か

 ただ、米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルのクックCEOは中国事業の不振を否定している。具体的な数値を示さなかったものの、「中国本土ではiPhoneの販売が伸びた」と強調した。

  アップルは、iPhoneで提供する生成AI(人工知能)機能に関して、米グーグルや米オープンAI、中国・百度(バイドゥ)などと協議していると伝えられており、24年6月に開催される開発者会議「 (WWDC) 」で何らかの発表があるとみられている。クック氏は決算説明会で、「私たちは常に、お客様に最高の製品とサービスを提供することに注力しており、来月の素晴らしいWWDCを楽しみにしている」と意気込みを示した。