「TKO」の木本武宏氏記者会見を開いて謝罪した「TKO」の木本武宏氏(2023年1月23日/共同通信社)

 2022年7月、「FX(外国為替証拠金取引)」と「不動産」取引による約7億円の投資トラブルが報道され、芸能活動の休止に追い込まれたお笑いコンビTKOの木本武宏氏。「テレビ・ラジオの関係者、所属事務所、芸人仲間、家族友人関係など、数え切れないほどの方に迷惑をかけてしまった」と猛省する木本氏だが、仕事も多忙で順風満帆だったベテラン芸人は、なぜ投資にのめり込み、詐欺に騙されてしまったのか。

(*)本稿は『おいしい話なんてこの世にはない』(木本武宏著/KADOKAWA)の一部を抜粋したものです。

すべては自分の欲望から始まっていた

 投資トラブルが報道され、活動休止のさ中、僕は「どうしてこうなってしまったのやろう」と、さまざまな角度から自分を見つめ直しました。そのときに僕はずっと大事な場面で「欲望」に支配されて生きてきたんじゃないか? と思い当たりました。

 芸人になったのも、周りから「キャーキャー」いわれ、モテたいという欲望からスタートしています。20代でそれが叶いましたが、30歳を迎える前から途端にそんな歓声から見放されるようになってしまいました。そこで、芸人としてのスキルをつけ焼き刃的に磨いていました。40代になると、楽して稼げないかと別の「欲望」が湧いてきました。

 そんなときに、暗号通貨に出会ってしまいました。ある番組で暗号通貨のエンジニアさんとご一緒したんです。その方が、「木本さん、ビットコインは絶対に買ったほうがいいですよ」とささやきました。そこまでいうならと、何回かにわけて合計50万円ほど投資しました。

 それが2017年でしたが、年末に向けてドカンと上がっていきました。僕が1ビットコイン(BTC)30万円前後で購入したものが、最高で233万2385円まで高騰します。短期間でおよそ8倍の値上がりです。

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