「スマスロ」はパチンコ業界再起の起爆剤となるか(写真はイメージ)

 昨年夏に次世代遊技機「スマートパチスロ(スマスロ)」の概要が発表され、関連銘柄の株価は右肩上がりを続けている。業界再起の起爆剤として期待される同遊技機を、パチンコ・パチスロ歴20年、多い時には週に3~5日ほど通っていたというルポライターの佐藤美由紀氏が体験してみた。(JBpress編集部)

導入以降、活気に満ちている“スマスロ島”

 昨年11月に次世代遊技機「スマートパチスロ(スマスロ)」が導入されて以降、この年末年始の時期を楽しみにしていた。やっと噂のスマスロがじっくり打てると期待に胸を膨らませていたのだ。

 スマスロはギャンブル依存症対策の一環として導入されたスマート遊技機で、「過度な射幸性の監視と抑制」を目的に、設置情報や出玉情報といった一連の情報などは遊技機情報センターに送信される。従来機に使用されていたメダルを使用せずに、電子情報で計測されたメダル情報で遊技する。メダルを使わないことで騒音の軽減や感染症対策、メダルを投入・計測する手間の軽減など、業界が抱える様々な問題の解決に期待されている遊技機だ。

 遊技客にとって最も気になるスペックも、現行機と差別化を図りスマート遊技機を推進させるために、出玉性能が緩和されている。わかりやすく表現すれば、遊技性が向上し、現行機種より出る可能性のある台・射幸性の高い台が作れるようになった。そんな前評判で、導入前から「スロット復活の兆し」「業界活性化につながる」と期待され話題になっていたのである。

 もちろん筆者も期待に胸を膨らませていた一人で、導入初日からSNSに流れる実践報告を食い入るように見つめていた。

「初日に複数台で万枚でてる、スマスロ熱いな」
「夕方、夜から打っても爆速で万枚でるぞ」
「初日からコンプリート報告ある」

 導入当初、打ってみたいと何度か店舗に足を運んだが、筆者が仕事終わりに店舗に向かうような時間帯では、イベント日との兼ね合いやちょうど混む時間だったのか座ることができなかった。

 導入直後は高設定が使われる可能性も高いと聞いていたため、あわよくばという気持ちもあったが、高設定どころか空き台に座ることすら叶わなかった。前評判を裏切ることなく、出足はとても好調なようだ。

 それならば年末年始のまとまった時間の取れるタイミングまで待ち、じっくり打とうと決めたのだ。

 実際に何度か店舗を見て回ったところ、スロットフロアに活気があり、久しく失われていた鉄火場の熱気を感じる、という印象を抱いた。人口密度が高いのは“スマスロ島”のみではあるものの、それでも全体的にこれまでより人が増えているように感じた。

 ホール関係者によれば「スマスロの稼働はいいけど、全体稼働はそこまで増えていないからパチンコからスロットに移動しただけだと思う。まだ休眠層の呼び戻しまでには至ってないようにみえる」との声もある。

スマスロ導入を告知する店の看板