1.業況判断DI ~ 大企業・製造業は▲58で過去最低。先行き期待も総じて沈滞
業況判断DI(「良い」-「悪い」)は、大企業では、製造業が▲58(6月予測▲51)、非製造業が▲31(6月予測▲30)になった。また、中小企業では、製造業が▲57(6月予測▲63)、非製造業が▲42(6月予測▲52)。
大企業・製造業のこれまでの過去最低水準は1975年5月調査の▲57だったが、今回の▲58はこれを更新した。また、前回調査比低下幅がこれまで最大だったのは74年8月調査の▲26ポイントだったが、今回の▲34ポイントはこれを更新した。世界同時不況・金融危機が、第1次石油危機並みの衝撃を日本企業に及ぼしていることがうかがわれる。
これまでの景気後退局面前後で記録されたボトム水準は、90年バブル崩壊後が▲43(93年11月調査・94年2月調査)、消費税ショックに加えて金融システム不安が強まった局面が▲51(98年12月調査)、ITバブル崩壊後が▲38(2001年12月調査・2002年3月調査)であった。弊社予想を大きく下回った▲57という今回の数字は、現在の景気後退局面が非常に深く長いものになりつつあることを、企業マインドの面から示したものと言える。
6月予測DIは、大企業・製造業では11四半期ぶりに改善。同・非製造業でも1ポイント上向いたが、世界景気底入れの確たるエビデンスが出てきていない現状、不況期特有の希望的観測の域を出ていないと考えられる。より注目すべきは、中小企業では製造業、非製造業ともに予測DIが下向きだったということ。輸出急減ショックがまず大企業に及んだ後、供給サイドの「ダウンサイジング」が強まる中で、中小企業の業況は今後一段と悪化しやすくなる。そのあたりについての警戒や不安が、中小企業の側では強いのだろう。いずれにせよ、先行き期待は総じて沈滞しており、景気底入れのムードはない。