プレイの指先、足さばきの細部にいたるまで、描写が自然ですばらしい。モーションキャプチャーを使っているのだろう。動きがなめらかだ。リョータ、桜木、流川、三井が躍動する。このへんから回想シーンも頻繁。
点差は51-63に縮まるが、山王が再び盛り返して55-73に広げる。大団円に突入する準備が構築されはじめる。点差が71-76に接近。
もちろん、このあたりの逆転を予想させる筋はありがちである。だが、わかっちゃいるが、俄然、引き込まれてしまう。心臓音と無音だけのラスト5分間は圧巻である。2段階の大逆転だ。
この映画は1回見たが、今回、もう1回見直した。やはりおもしろい。ジブリの映画のように、声優に有名俳優たちを起用していないところも好感がもてる。有名俳優をありがたがるファンもいるかもしれないが、あんなものは映画に関係のない余計な情報が入って、かえって邪魔である。
大逆転で映画は終了、と思っていた。ところがもう1場面あった。数年後、山王工高のエース沢北はアメリカの大学チームに入っている。そして対戦チームには、リョータの姿があるのである。
一方リアルなバスケット界で異彩を放つのが
そんなリアルのアメリカの大学バスケット界には、異彩を放ち続け、いまや全日本のメンバーに欠かせない富永啓生がいる。
かれの所属するネブラスカ大学は、今季のレギュラーシーズンを22勝9敗で終えた。富永自身は特に、強豪校であるインディアナ大戦では今季自己最多の28得点を上げて、チームに劇的勝利をもたらした。
富永はさらに全米ランキング1位のパデュー大を相手に19得点を記録し、歴史的勝利(88-72)に貢献した。
その結果、念願のNCAA(全米大学体育協会)トーナメント出場を果たした。3月23日(日本時間)に1回戦が行われ、富永啓生は21得点を挙げたが、テキサスA&M大学に83-98で敗れ、初戦敗退となった。
その試合で富永の大学生活は終わった。3年間先発選手として出場し続けたのは富永一人だけだった。渡米時には英語が話せなかった富永は、チームのまとめ役にまで成長したのである。