青空の下、公園のバスケットコートで二人の少年が「1on1」(ワンオンワン、1対1)をやっている。背の高い兄の宮城ソータが、弟のリョータに抜き方を教えている。父親はすこし前に亡くなっているようだ。

 場面はまもなく、広島で行われているインターハイの予選に一気に飛ぶ。リョータは神奈川県代表湘北高校のポイントガードに成長している。しかし相手は、インターハイ3連覇で高校最強の名をほしいままにしている秋田県代表の山王工業高校だ。

 見ていてすぐに気づくことは、井上雄彦の画が完成されていて安心感があることだ。

 オリジナルの漫画「SLAM DUNK」は1990年から1996年にかけて『少年ジャンプ』に連載された。1990年といえば、井上がまだ23歳のときだ。しかたないこととはいえ、初期のころは若書きで、人物描写や動作描写が未熟である。

 そのことが新装再編版全20巻を一気読みすると如実にわかる。わたしは個人的にそのことに軽いストレスを感じるのである。

 それが劇場版にはまったくない。当然のことだ。現在の井上の画は漫画としての極致を示している。作品として完璧、安心して見ていられるのだ。

わかっちゃいるが引き込まれてしまう

 本作品はこの横浜湘北と最強秋田山王の1試合だけが描かれる。

 しかし試合進行だけで1作を描ききるのは、平板になりがちである。そこで試合経過とともに、過去の出来事の回想が挿入される。

 兄のソータは海の事故で死んでいることが明かされる。母親の嘆き。リョータの寂寥。ソータと比べられることへの葛藤。沖縄から横浜への転居。

 リョータが公園でひとり練習をしているとき、三井寿と初対面で1on1を挑まれ、軽くあしらわれる。

 試合の前半は、桜木花道や三井寿や流川楓や赤木剛憲が力を発揮し、山王と互角に闘う。

 しかし後半になると、地力の違いで20点もの大差をつけられる。

 やはりここまでかと諦めムードが漂うなか、安西監督の「あきらめたらそこで試合終了ですよ」との覚悟が示され、監督はベンチに戻っていた桜木を投入する。これが転機になる。流れが変わる。三井のスリーポイントが炸裂する。