ブルーノ・マーズ 写真/AP/アフロ

(小林偉:放送作家・大学教授)

引用?パロディ?それとも・・・

 先日、ピン芸人を対象にした賞レース=R-1グランプリで、トンツカタンお抹茶という方が、マニーラという作曲家の楽曲を不正使用して問題になったり、今年の1月にはロックバンド=ノーベルブライトが、自分の楽曲を盗作したとしてラッパーのリル・ディバとミントに対して抗議したり・・・楽曲を巡る“著作権侵害”的な問題って、割と頻繁に起きますよね? 

 引用やパロディといった意識的に使用しているケースや、たまたま過去の楽曲に似ていたという無意識な場合など様々ですが、“元ネタ”の作者が、盗作された、無断使用されたと感じた時点で騒動、もしくは事件へと発展してしまうものです。

 そこで今回は、過去に海外で“盗作騒動”が起こった楽曲と、その元ネタとされた曲の比較を幾つか取り上げてみようと思います。実際、皆さんの耳で“確認”してみて下さいね。ちなみに今回取り上げる楽曲は全て、双方和解して一応決着しているものですので、ご安心を。

 まずは割と最近の、こちらの曲から。

●Uptown funk/Mark Ronson feat. Bruno Mars

 今年1月に来日したばかりのブルーノ・マーズとマーク・ロンソンによる大ヒット曲「アップタウン・ファンク」。日本でもCMやテレビ番組でよく使用されているので、ご存知の方も多いでしょう。実はこの曲のアウトロ・・・曲の最後3分54秒ぐらいからの部分を改めてお聴き下さい。その部分が盗作ではないかと指摘された箇所なんです。

 そして、その元ネタだと主張したのがこちらの曲のイントロ部分です。

●Oops upside your head/The Gap Band

 こちらは1970年代から活躍しているファンク・バンド=ギャップ・バンドの「ウープス・アップサイド・ユア・ヘッド」という曲。どうでしょうか? 確かに似ているといえば似ていますが、ファンクミュージックにはよくありがちなメロディという感じもしますけどね。

 ギャップ・バンド側は「あれは私たちの曲の盗作」と指摘したワケですが、マーク・ロンソン、ブルーノ・マーズ側は争うことをせず、素直に似ていることを認めて、楽曲のクレジットに元ネタの作者を加え、印税の配分も行ったそうです。「アップタウン・ファンク」はダウンロードとCD、レコードなどを合わせて累計2000万枚以上のセールスと言われていますから、数%としても莫大な額になるのは間違いありません・・・。

 続いては、こちらも昨年10月に来日したばかり。イギリスの人気シンガー、サム・スミスによる、こちらの大ヒット曲です。