舞台挨拶する映画『破墓』のチャン・ジェヒョン監督(右)と俳優チェ・ミンシク(写真:OSEN/共同通信イメージズ)

大ヒット映画の底流にある「反日扇動」

 いま韓国では、オカルトミステリー映画『破墓』が大きな話題を呼んでいる。

 災いが続く大富豪一族の依頼で先祖の墓を改葬することなった陰陽師たちが、掘り起こした墓から現れた鬼と戦うストーリーのこの映画は、「K-オカルト職人」の異名をもつチャン・ジェヒョン監督の演出と、チェ・ミンシク、ユ・ヘジン、キム・ゴウンといった韓国を代表する俳優たちの熱演のお陰で、公開から7日で損益分岐点の300万人の観客動員に成功したかと思えば、封切り18日目の3月10日には800万人を突破、現在、1000万人に向かって突っ走っている。

『破墓』の舞台あいさつに立つ俳優ヘ・ユジン(OSEN/共同通信イメージズ)

 すでに本作は韓国のオカルト映画史上最大のヒット作『哭声/コクソン』を越える興収を上げ、映画界から大きな注目を集める一方、別の側面でも大きな関心を呼んでいる。それは映画全般に目立つ「反日情緒」だ。その是非を巡ってメディアと政界で論争が起こっている。

『破墓』に出演するキム・ゴウン(OSEN/共同通信イメージズ)

 実は映画『破墓』は、韓国の伝統的な「風水思想」と反日感情を巧みにミックスさせた舞台設定で、本来はマニア向けのオカルトものを、大衆向けの娯楽映画に仕立てている。