米国のバイデン大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相(右)、両国の関係は今後どうなる?(写真:AP/アフロ)
  • イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉が合意に至らないままラマダン(断食月)が始まった。
  • イスラエルの強硬姿勢は依然として変わらず、戦争の長期化で「イスラエルの暴走」に対する警戒感が高まっている。
  • 米国のバイデン政権はイスラエルに対して自制を求めているが、そもそも世界最大の産油国になった米国にとって中東地域の安定はかつてほどプライオリティは高くない。(JBpress)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 3月13日の米WTI原油先物価格(原油価格)は前日比0.37ドル(0.5%)安の1バレル=77.56ドルで取引を終了した。「原油需要が伸び悩む」との懸念が価格の下押し圧力となる展開が続いている。

 石油輸出国機構(OPEC)は12日に発表した月報で、「2月の原油生産量が前月比約20万バレル増の日量2657万バレルだった」ことを明らかにした。OPECとロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスは1月から自主減産を始めているが、その遵守状況が芳しくない。

 イラクが2カ月連続で割り当てられた生産枠を上回る生産を続けているのが主な要因だ。イラクの2月の原油生産量は前月比約1万バレル減の日量420万バレルにとどまり、合意した生産枠を約20万バレル上回っている。

 イラク政府は「生産枠を守る」と述べているが、荒廃した経済を復興させるため、1滴でも多く原油を売りたいのが本音だろう。

 ロシアも先週、海上で輸出される原油の量が今年に最高に達したことが、タンカー追跡データで明らかになっている*1

*1OPECの石油供給削減は停滞、イラクが生産枠上回る供給を継続(3月12日付、ブルームバーグ)

 米国の原油生産も好調だ。米エネルギー情報局(EIA)は12日、今年の原油生産量は日量1319万バレル、来年は1365万バレルと見通しをそれぞれ上方修正した。

 次に需要サイドだが、米中2大消費国で悪材料が出ている。