(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年2月5日付)

ロンドンのセントポール大聖堂

 英国人は幻滅している。

 これが英国の政府と政治に対する信頼感に関する世論調査から引き出される結論だ。それだけでも十分に悪い。

 だが、政治に対する低い信頼は、不信感が政治家の質を落とし、大胆だが不可欠な政策判断を下す政治家の能力を低下させるスパイラル的な悪循環を生む恐れがある。

 それが今度はパフォーマンスを一段と悪化させる。

 経済協力開発機構(OECD)の世論調査によると、2021年に自国の政府を信頼していた英国人は39%強だった。この数字は31%の米国のレベルに近く、イタリアの35%を上回っていた。

 だが、スイスの84%、フィンランドの77%、スウェーデンの69%、ドイツの61%には大きく水をあけられている。

 政治システム全体に対する不信感はもっと深刻だ。

 英ロンドン大学キングスカレッジがまとめた「世界価値観調査における英国」によると、自国の政治システムに「非常に満足している」英国人はわずか17%で、32%が不満を抱いていた。

 それに比べると、カナダ、ドイツ、オーストラリアはかなり健全だった。