(英エコノミスト誌 2023年12月23・30日合併号)

中国はロボット大国を目指している

人口が減少するなか、中国は機械が不足を補ってくれることを期待している。

 中国による初めてのヒューマノイド(ヒト型ロボット)製造の試みは成功しなかった。

 国防科技大学のチームが2000年に造った機械は、まるで歩くトースターのように見えた。顔にはギョロ目が、股の近くには大砲のような突起物がついていた。

「先行者(シャンシンジェ)」と名付けられたこのロボットは、その当時もっと洗練されたロボットを誇っていた隣国で茶化された。

 日本のネチズンたちは、これは中国の秘密兵器だ、敵が笑い死にするように設計されているとからかった。

産業用ロボットの半数は中国で設置

 しかし、中国はあきらめなかった。

 中国政府は今年11月、2025年までにヒューマノイドを量産する計画をぶち上げた。中国のロボット愛は、歩いたり話したりするロボットだけに向けられているわけではない。

 業界団体の国際ロボット連盟(IFR)によれば、世界で昨年導入された産業用ロボットの半分は中国に据え付けられた。

 また労働者1人当たりのロボットの台数で測るなら、中国は今や世界で5番目に自動化の進んだ国となる。

 プライドをかけ、そして人口動態の困難に直面して、中国はロボット超大国になる任務に取り組んでいる。

 中国で新規に据え付けられるロボットの多くは、工場の生産ラインで溶接、穴開け、部品の組み立てなどを行うようプログラムできるロボットアームだ。

 だが、中国は昨年、工場の自動化とは異なる作業で人間を助ける「サービスロボット」も600万体以上製造している。

 こうしたロボットは倉庫の中を動き回って箱を運ぶ。ホテルで掃除をする機械もある。

 中国南部の都市・広州のとあるレストランではロボットが調理や給仕も行っている。