(英エコノミスト誌 2023年12月16日号)
資本逃避の新たな時代が幕を開けた。
中国に強気な人々にとっては散々な1年だった。
中国株のCSI300指数は年初来で13%下落しており、新型コロナ対策の厳格なロックダウンが最後に行われた際の水準をも割り込んでいる。
不動産市況の悪化は企業をデフォルト(債務不履行)に追い込んでいる。
経済成長の見通しはさえず、気まぐれで専制的な国内指導者層や大口の貿易相手国との不確かな関係に対処する必要性も相まって、金融市場は悲惨な状況に陥っている。
外国人や中国富裕層がこぞって出口に殺到
これは大々的な資本流出を招く状況でもある。
かつて中国に果てしない熱意を抱いていた外国人投資家が、今では出口に殺到している。中国に数多くいる富裕層も同様だ。
シンクタンクの国際金融協会(IIF)によれば、中国の株式・債券市場では国外への資金流出が国外からの資金流入を5四半期連続で上回っている。
純流出がこれほど長く続くのは初めてだ。
企業も浮き足立ってきている。今年第3四半期の中国への外国直接投資(FDI)は、四半世紀前に記録を取り始めてから初めて流出超過になった。
これについては、中国の製造業者が生産拠点を外国に設ける投資を行っているせいでもある。その方が人件費を低く抑えることができ、米国の制裁回避にも役立つからだ。
流出した資本の合計額については議論の余地があるものの、中国の不透明な対外収支統計には最大で5000億ドル相当の取引が実際とは異なる名目で計上されているとの見方もある。