(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年12月5日付)

中東比重を高めれば東アジアが危険にさらされかねない(写真は12月1日、アラビア海に展開する空母ドワイト・アイゼンハワーから離陸するF/A-18E戦闘機(米海軍のサイトより)

 1つの超大国は同時にいくつの国際紛争に対処できるのだろうか。

 バイデン政権は現在、中国と台湾との緊張の激化にも備えながら、中東と欧州での戦争に対応しようとしている。

 これらすべての出来事が、ドナルド・トランプが落とす長い影の下で進行している。

 前大統領がホワイトハウスに返り咲く可能性は、米国の未来と世界における米国の役割について重大な疑問を投げかける。

欧米で宙に浮くウクライナ支援

 これらの出来事の組み合わせは、米ワシントンの政府庁舎で手に取れるような緊張感と不吉な予感を生み出している。

 バイデン政権に襲いかかってくる危機の数の多さだけでなく、例えばウクライナと中東での戦争など、多くの危機が間違った方向に進んでいるという事実も響いている。

 世論調査では、ジョー・バイデンが不利な状況に立たされている。

 外国での危機は近く正念場を迎える可能性がある。

「今後3カ月間で今後数年間が決まる可能性がある」というのが、ある米政府高官の見立てだ。

 民主党の大物政治家は「1月には、我々はジョー・バイデンがいかにウクライナを失ったかについて話しているかもしれない」と心配している。

 ウクライナの軍と民間機関向けの新たな支援金は米議会で宙に浮いている。

 バイデン政権はウクライナ向けの支援が最終的に合意されると確信しているようだ。