(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年11月28日付)
オランダの政治家のヘルト・ウィルダースにとって、成功までの道のりは長かった。
筆者は2004年、彼が自身の政党を立ち上げる準備をしていた頃に会ったことがある。
イスラム教と移民を公然と非難したせいで、すでに標的になっており、隠れ家に暮らし、ボディーガードに囲まれている生活に徐々に慣れつつあった。
「B級映画から抜け出せないような感じがする」と話していた。
あれから20年近く経った今、ウィルダースは端役から主役の座に移った。自ら率いる極右・自由党は先週のオランダ下院選挙で第一党に躍り出た。
連立政権を樹立して首相になるのは容易ではない。だが、前代未聞のブレークスルーを遂げた。
極右政党の躍進、ドイツやフランスでも顕著
ウィルダースの成功は欧州全体で見られる明らかなパターンの一環だ。
かつては傍流の極右政党として片付けられていた政治集団が各地で人気を集めており、一部の国では権力の座を手に入れた。
ハンガリーのオルバン・ビクトルは今や、欧州連合(EU)でトップ在任期間が最も長い首脳だ。
ジョルジャ・メローニはイタリア首相として就任1年目を終えたところだ。
ポピュリスト(大衆迎合主義者)で極右のテーマに手を出すロベルト・フィツォはスロバキア首相に返り咲いた。スウェーデン民主党は議会の第2政党で、与党の連立政権を支えている。
極右はドイツとフランスでも支持を伸ばしている。