- OPECプラスは11月30日、サウジアラビアなど8カ国が日量220万バレルの自主減産を実施することを決めた。加盟国全体での追加減産は合意できなかった。
- 「減産したい国」と「増産したい国」の溝は深く、自主減産を余儀なくされているサウジアラビアを財政的に追い込む危うい構図となっている。
- OPECプラスに参加することになったブラジルが協調減産に応じるかどうかも未知数で、原油価格への下押し圧力は今後も続きそうだ。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの大産油国が構成するOPECプラスは11月30日、オンラインで閣僚級会合を開き、現行の協調減産の枠組みを維持することを確認した。
OPECプラスは昨年11月から日量200万バレルの協調減産を実施しており、サウジアラビアは今年7月から追加で100万バレルの自主減産を行っている。今回の会合ではサウジアラビアの要請を受けてOPECプラス全体の協調減産が議論されたが、各国の足並みが整わず、見送りとなった。
その代替案としてまとまったのは、8カ国が来年から合計で日量220万バレルの自主減産を行うことだ。これまでに比べて日量90万バレルの拡大だ。
サウジアラビアは現在実施中の自主減産(日量100万バレル)を継続するとともに、ロシアは原油輸出量の削減幅を日量30万バレルから50万バレルに拡大する。残りの70万バレル分は、イラク(22万バレル)、アラブ首長国連邦=UAE(16万バレル)、クウェート(14万バレル)、カザフスタン(8万バレル)、アルジェリア(5万バレル)、オマーン(4万バレル)が分担することになる。
8カ国は「市況が許せば、第2四半期以降、段階的に減産を解除する」としている。
事前の報道では「サウジアラビアがアンゴラとナイジェリアに減産を求めた」とされていたが、両国がこれに応じることはなかった。
OPECプラスはさらに、産油国トップ10入りしているブラジル(生産量は日量約320万バレル)を加盟国として招待することを決めた。このところ、OPECプラスの減産をOPECプラスに属していない産油国の増産が打ち消す構図になっていることが背景にある。