10月29日、天皇賞(秋)を制したイクイノックス(写真:共同通信社)10月29日、天皇賞(秋)を制したイクイノックス(写真:共同通信社)

父はキタサンブラック

 10月29日、東京府中の東京競馬場で第168回の秋の天皇賞が行われた。前評判でダントツ1位だったのは国際機構連盟の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で世界1位となっているイクイノックスの単勝1.3倍だった。

 キタサンブラックの初年度産駒として2019年3月に誕生。21年8月に新潟競馬場で2歳新馬戦に臨んで勝利を果たすと、同年11月のGⅡ東スポ杯2歳ステークスでも優勝。

 3歳となって挑戦したGⅠの皐月賞とその後のダービーでは惜敗の2着に終わる。しかし、そこからがすごかった。昨年の秋の天皇賞、有馬記念で勝利を飾り、今年になって初の海外戦ドバイシーマクラシックまで制覇しGⅠで3連勝をマークするのだ。

 もともと末脚が光る脚質で勝利を重ねていたが、ドバイシーマクラシックのレースでその評価を一変させた。

 イクイノックスはいつもコンビを組んでいる鞍上のルメール騎手の指示に従い、初めての逃げを打ったのだ。

 他のウマからマークされる逃げを打つのはいわば賭けのようなものであるが、ペースが絶妙で競り合ってくるウマもなく、悠々の逃げを打つことができた。3コーナーから後続場が距離を縮めてきたが、それをあざ笑うかのように最後の直線では差が縮まるどころか開く一方で、ルメール騎手はノーステッキで後続馬を振り返って見るほどの余裕を見せ、ゴール前では流すだけの楽勝だった。それでいてタイムは2分25秒65のコースレコードだから衝撃だった。