8月6日のアメリカvsスウェーデン戦。米の8番ジュリー・アーツと競り合うスウェーデンの11番スティーナ・ブラックステニウス(写真:AP/アフロ)

ワンバック引退後のエース・モーガンが不発

 8月6日、女子サッカーW杯でベスト4進出をかけ、なでしこと対戦する相手が決まるアメリカ(米)対スウェーデン(SW)戦が行われた。米はFIFAランク1位、SWは3位の強豪同士の対戦だけに、オーストラリア・メルボルンの会場にはほぼ満員の2万7000人あまりが詰めかけた。

 ちなみに、なでしことこの2カ国の対戦成績は、米に対しては1勝8分け29敗。SWに対しては5勝3分け6敗であり、どちらが勝ちあがっても難敵であるのは確かだが、特に米に対してなでしこは長年、蛇に睨まれたカエルのような状況であった。

 しかし、なでしこは2011年のW杯の決勝で延長で同点に追いつき、PK戦で破って優勝を果たしている。15年、次のW杯でも決勝戦で当たり、このときは米にリベンジされた。当時の米にはFWにアビー・ワンバックという怪物がおり、11年にはPK戦で競り勝ったものの、彼女が率いる米とまともにぶつかったら勝てる想像すらできない状況だった。

 今回のW杯前の国際親善試合で9連勝していた米は、当然のことながら優勝候補ナンバー1の呼び声高く、意気揚々と豪へやってきた。E組に入り、ベトナム・オランダ・ポルトガルと対戦し、格下のベトナムには勝ったものの、評判が高かったオランダとは0-0で引き分け。勝ち点4の状態で最終戦のポルトガル戦に臨んだ。

 W杯初出場のポルトガルは勝ち点3だったので、米に勝てばグループリーグを突破できる。しかし米に勝てることはないだろうという戦前の予想を覆し、米は得点を挙げられず、アディショナルタイムにはポルトガルFWがフリーでシュートを打った。これが入れば米はグループリーグ敗退になったのだが、無情にもボールはゴールポストに当たって外れてしまい、ゲームは引き分け。米は首の皮一枚で決勝トーナメントにコマを進めたのであった。