ヴィジュアル系の“レジェンド”として

 90年代後半は「ヴィジュアル系」がお茶の間まで広く浸透し、ブームとなった。それを牽引していたのは紛れもなくLUNA SEAだった。そんな彼らであったが、2000年12月東京ドーム公演『LUNA SEA THE FINAL ACT TOKYO DOME』を以て終幕。以降、ヴィジュアル系ブームは沈静化し、氷河期と言われる時代に突入した。もちろんブームが終息した原因はひとつではないが、LUNA SEAの終幕がシーンに大きな影響を与えたことは間違いないだろう。

“ヴィジュアル系氷河期”とも呼ばれた2000年代は「昔、ヴィジュアル系を聴いていた」ことを公言することがどこか恥ずかしいとされていた時代だった。ただこの頃の新進気鋭のバンドの多くはジャンルを問わず、LUNA SEAがロックの初期衝動であり、LUNA SEAのシグネチャーモデルでギター&ベースを始めた者が世代的にも多かった。しかし、それを表立って口にすることはなく、ただの楽屋話になっていたのである。

 そういった風潮を打破したのは、LUNA SEA自らであった。2007年12月24日、東京ドーム『GOD BLESS YOU 〜One Night Déjàvu〜』にて、一夜限りの復活を果たしたのだ。

 この奇跡の復活は、ファンのみならず多くのアーティスト、バンドマンを歓喜させ、「昔、LUNA SEAを聴いていた」ことをカミングアウトする非ヴィジュアル系バンドマンが多くいた。それ以降、堰を切ったように多くの音楽ファンがLUNA SEA好きを公言するようになった。このことは、ヴィジュアル系シーン全体の再評価に繋がっていくことになる。

 2010年「REBOOT」、活動再開を宣言。海外を含めた精力的な活動は、ヴィジュアル系のレジェンドとしての地位を知らしめた。

 さらに、自らその影響力を証明するフェスを開催。2015年、2018年に行われたフェス『LUANTIC FEST.』だ。ビジネス的な忖度一切なし、お互いがリスペクトし合うメンツで固められたアクトだった。X JAPAN、AIONといった先輩をはじめ、MUCCにlynch.といったシーンの後輩、そして、9mm Parabellum BulletにTHE ORAL CIGARETTES、Fear, and Loathing in Las Vegas……といった世代とジャンルを超えた面々が、LUNA SEAの影響力の大きさをありありと証明したのだった。

 同フェスでは、初期グループ名義の“LUNACY”として、オープニングアクトを務めた。インディーズ時代、東京・町田のライブハウス、PLAY HOUSEでやっていた『黒服限定GIG』を復活させたりもした。現メンバーで初ステージに立った結成記念日5月29日には、インディーズ時代以来約32年ぶりとなった目黒鹿鳴館でライブを行うなど、初心を忘れることのない活動を展開している。

 今年2023年10月からは、全国アリーナツアー『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023』の開催が決定した。同ツアーは、「ROSIER」「TRUE BLUE」が収録された4thアルバム『MOTHER』(1994年)と5thアルバム『STYLE』(1995年)の再現ライブだ。世間的にはLUNA SEAといえば「ROSIER」「TRUE BLUE」なのかもしれないが、少々マニアライクな視点からみれば、『MOTHER』の1曲目を飾る「LOVELESS」ではないだろうか。フレットレスギター、12弦ギターを巧みに操るロックバンドなど、LUNA SEAの他にはいない。またあのトリプルネックギターを抱えたSUGIZOの勇姿が見られるかと思うと、楽しみで仕方ない。