かつては居酒屋で吐き出していた愚痴も、最近はSNSの匿名アカウントになっている(写真:アフロ)
  • 会社に対する不満をTwitterのような匿名アカウントで発散する従業員が増えている。そんな状況を放置すれば、他の従業員のロイヤリティも低下しかねない。
  • そんな声をチャットボットで拾い集め、AIで解析し、自動回答と人による対応に分類する。そんなサービスが中国で生まれている。
  • 少子化で労働力の担い手が減少する今の時代、従業員の「つぶやき」をデータに変え、従業員のロイヤリティ改善につなげていく必要がある。

(*)本稿は『GAFAも学ぶ!最先端のテック企業はいま何をしているのか 世界を変える「とがった会社」の常識外れな成長戦略』(東洋経済新報社)の一部を抜粋・再編集したものです。

(成嶋 祐介:一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事)

※前編『リアル店舗に注力するアマゾンと「究極のEC」を目指すウォルマートの現在地』から読む
※中編『「街の飲食店」も集まれば大手資本に対抗できる、中国発・スイミー戦略とは』から読む

「ここ数年、なんで給料が上がらないんだろう?」
「上司にいくら要望を伝えてもぜんぜん動いてくれない……」

 会社に勤めていれば、会社の勤怠、待遇、昇格、人事異動から上司や同僚との人間関係にいたるまで、大小さまざまな不満を抱えているものです。

 ところが、会社の規模や体制にもよりますが、そういった会社に対するネガティブな不満や苦情というものは会社に伝えにくいものです。また、上司などに助けを求めたくても、相手はたいがい忙しく、顧みてくれることも少ないのが実情です。

 結果、当事者である従業員が不満を抱えたまま我慢する、あるいは居酒屋やツイッターの匿名アカウントのような場で発散するしかない状況が生じています。

 ただ、そのように我慢し続けているのは、少し前の世代の話かもしれません。というのは、Z世代に代表される最近の若い世代は、抱えている不満が解消されなければ、すぐに会社を辞めて次の会社に転職してしまうからです。