(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
台湾の蔡英文総統が、29日から米国を経由して中米の2カ国を訪問する旅に出た。米国訪問は約4年ぶりで、マッカーシー下院議長との会談も予定されている。
その直前の26日、台湾は中米のホンジュラスと断交したと発表。同日、ホンジュラスは台湾に代わって中国と国交を樹立したと発表した。
さらに27日から、台湾の馬英九前総統が中国を訪問している。総統経験者が訪中するのは初めてで、馬氏の所属する台湾の最大野党の国民党は親中路線をとる。来年1月には総統選挙がある。
このタイミングからして、中国が台湾を外交で切り崩し、内政で取り込みを図って、米国に対抗する構図が浮き彫りになる。
経済支援でホンジュラスを台湾から引きはがした中国
対中強行路線の民進党の蔡総統が2016年に誕生してから、中国は台湾と外交関係のある国の囲い込みに走った。台湾との断交、中国との国交樹立を急速に求めていく。結果、ホンジュラスを含めて9カ国がこれに応じ、台湾が外交のある国は13カ国にまで減った。
「ホンジュラス政府は、中国は世界に1つしか存在せず、中華人民共和国が中国のすべてを代表する唯一の合法的な政府と認識する」
「台湾は不可分な中国の領土の一部だ。今後、ホンジュラス政府は、台湾といかなる関係も接触ももたないことを約束する」
ホンジュラスは26日の声明でそう発表している。