ウクライナ疲れへのアンチテーゼ
ジョー・バイデン米大統領がウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問した1週間後、ジャネット・イエレン米財務長官が2月27日予告なしにキーウ(キエフ)を訪問した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やデニス・シュミハリ首相らとウクライナの経済活動維持に向けた財政支援などに関して協議した。
大統領が先週訪問し、米国のウクライナ支援への決意を鮮明にしたのに、なぜまた財務長官が訪問したのか。
国務、国防各長官でもないのになぜか。
イエレン氏は、雇用、労働市場専門の経済学者。連邦準備制度理事会(FRB)理事を長年務め、その後、女性としては初めて同理事会議長を務めた無党派の経済エキスパートだ。
非軍事面での対ウクライナ支援の具体策を経済専門家として詰める狙いがあったのだろう。
イエレン氏は、ゼレンスキー氏との会談に際し、ウクライナの国家予算に対する追加支援として、12億5000万ドル(約1700億円)を供与すると表明した。
「ゼレンスキー氏は、ウクライナ経済を安定化させるため、汚職の撲滅と改革に全身全霊で取り組んでいる」と、西側からの支援に絡むウクライナ政府内の汚職に厳しい目を向けることも忘れなかった。
(米国内の一部にはウクライナの汚職を取り上げ、共和党議員からは事実究明や支援停止を求める声も出ている)
イエレン氏はまた、キーウ市内の学校を視察し、演説した。
「米国の非軍事支援策は以下の2つの柱からなっている」
「一つは、米国は、ウクライナがロシアの侵攻に抵抗し、難関を打開する上で死活的な国家経済に直接的支援を与えること」
「ウクライナの公務員給与、公共サービスなど国家としての政府運営が続くための直接的な経済支援だ」
「もう一つは、ロシアが戦争に費やす国庫収益を断つための前代未聞の多国籍的経済制裁連合を米国がリードすることだ」
イエレン氏は、キーウ訪問直前、ニュースサイト「エクシオス」とのインタビューでこう述べている。
「経済制裁はロシアの通貨、流通貨幣には影響を与えてはいない。だが我々の目標は制裁によってロシアの戦闘力を削ぐことにある」
「現にロシアはまともな航空機を使えずに放置している。部品が買えないからだ。2つの大規模な戦車製造修理工場は戦車の修理ができないでいる」
(Yellen makes surprise visit to Ukraine to reinforce U.S. support)