(林田 直樹:音楽ジャーナリスト・評論家)
コロナ禍で中断していた世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」が4年ぶりに、2023年5月4、5、6日の3日間、東京国際フォーラム(有楽町)で開催されることが正式発表された。
テーマは「ベートーヴェン」。大作曲家の生誕250年、2020年に予定されていたテーマがそのままスライドした形になる。
有料公演数は50。これは最後に開催された2019年の124公演に比べると、半分以下の規模である。渡航コストの急騰により、海外からの来日演奏家・団体の数も、例年に比べるとかなり少なくなった。その分、国内演奏家・団体の参加が大幅に増えた。
慎重な再スタートだが、これは現状で対応しうる最適解なのかもしれない。
それに――詳細をよく見てみれば、内容的には例年と全くひけをとらないほどバラエティに富んでおり、さすが「ラ・フォル・ジュルネ」の名に恥じない充実したプログラミングだと個人的には感じた。
その注目点については後述するとして、この音楽祭の基本をおさらいしておこう。