燃料油価格激変緩和補助金で安定しているガソリン価格だが、今後、段階的に縮減される見込みだ(写真:アフロ)

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

物価は遂に4%超え

 物価高騰が止まらない。物価の強弱を見るには、天候要因で振れが大きくなりやすい生鮮食品を除いた消費者物価指数、いわゆるコアCPIを見るのが一般的だ。

 昨年12月の全国コアCPIは前年同月を4.0%上回る大幅上昇を記録した。コアCPIの上昇率は、消費税導入や増税の局面を超え、第二次石油危機後の1981年12月に並ぶ41年ぶりの大きさへ達した。

 コアCPIをエネルギー、食料、財、サービスの4項目に分けてみると、このところサービス以外の3項目が大きく上昇している。3項目とも、資源高や円安による輸入コスト上昇が転嫁された影響が大きい。

 最近は、特に食料価格の伸び加速が続いている。生鮮食品を除く食料価格は前年比で7%を超える上昇である。4%の物価上昇のうち、食料価格の上昇による影響(寄与)が、半分弱の1.7%ポイント分を占める。

 円安や飼料価格高騰により、肉類や乳製品など畜産物の価格上昇が続いている。また、コアCPIには含まれないが、燃料高やウクライナ危機による供給縮小の影響で生鮮魚介の価格上昇も続いている。

 そして、外食や調理食品では、肉類や魚介類、乳製品を原材料とする品目で価格上昇が目立つ。輸入コスト上昇の転嫁が二重、三重に波及している状況だ。


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 一般的には、資源高や円安を主因とした物価上昇は長続きしない。資源相場や円相場の一方的な変動が長続きしないためだ。

 例えば、原油や農産物など資源価格高騰が生じた2008年に、コアCPIの前年比は一時2%を超える上昇となったが、その後、リーマン・ショックの影響もあって、翌2009年には一時2%を超える下落を記録した。

 また、アベノミクスにより円安が進行した2014年度には、8%への消費税率引き上げも相まって、コアCPIの前年比は一時3%を超えたが、翌2015年度には結局ゼロ近傍で低迷した。

 だが、今回の局面では物価上昇が長引く可能性が高い。今年2月以降、コアCPI上昇の勢いが衰えるものの、それでも前年比で+2%前後の高い伸び率があと1年近く続きそうだ。

 それでは、なぜ物価高騰が長引くのであろうか。理由は主に3つ考えられる。