クリスティアーノ・ロナウドのゴールパフォーマンスを真似て喜ぶガーナ代表のオスマン・ブカリ(写真:ロイター/アフロ)

◎前編:『ダブルブッキング、激高、たらい回し、カタールW杯で感じた「中東の洗礼」』はこちらから

(元吉 烈:映像作家・フォトグラファー)

 筆者が最初に観戦した試合はドイツ対日本。

 結果はご存知の通り、試合終盤に堂安律(ドイツ:SCフライブルク)と浅野拓磨(ドイツ:VfLボーフム)の得点で逆転した日本の勝利だった。

 サッカー大国ドイツは、2018年のロシア大会でも初戦のメキシコ戦を落とした後にグループリーグ敗退となり、同じ過ちは犯すまいと入念に準備していた中、まさかの敗戦となった。

 日本代表がドイツ代表を破った戦術的な詳細や現地の日本代表選手のインタビューなどは文章や映像で多く出ているので、ここでは深入りしないが(そんな能力もないが)、大方の予想を覆して日本代表が劇的な形でドイツ代表を破ったことは現地でも大きなニュースになった。

 地下鉄で、ビールが飲めるバーで、他試合のスタジアムで出会った人たちからは一様に「日本はこれでベスト16に行けるね」と言われるようになった。

 その一方で、ドイツ代表が敗戦した理由に、ドイツ人選手が大会前から多くの時間と労力を「政治」に使ったことがあったのではないかという報道が一部なされた。