男子アイスホッケー日本代表(写真:永山礼二/アフロ)

(人見 しゅう:スポーツライター)

 北京五輪で過去最高の6位と結果を残し、その後の世界選手権でも強豪フィンランドを下してこちらも史上最高位の5位に入るなど、明るい話題を提供した女子アイスホッケー日本代表スマイルジャパン。その一方で男子代表が不遇の時代を迎えている。

 オリンピック出場は自国開催枠で参加した長野以来、遠ざかる。リーグ戦の観客も減少した。関係者は「男子選手がアイスホッケーを続ける意味を見いだせなくなるのではないか」と危機感を募らせる。

 その中で進む、2030年札幌冬季オリンピックの招致活動。競技人口も減り、存続すら危うい中、男子代表のオリンピック出場の可能性はあるのか。

オリンピックから遠ざかる男子代表

 現在の男子日本代表は、世界選手権のカテゴリーではディビジョンI-B(3部相当)で、世界ランクは25位。オリンピックに出場するには世界ランキング上位8カ国に入るか、予選を通過する必要がある。世界トップ層とは大きな差があり、「今の代表にとってオリンピックは夢」と語る選手もいるほどだ。

 日本アイスホッケー連盟の本間貞樹強化本部長は、「五輪が遠いものになってしまった。好きなホッケーをやれている、日本代表になりたいと選手が思えているのか。アイスホッケーが日本からなくなるかもしれないという認識を我々は持たなければいけない」と危機感を募らせる。

 日本の競技人口は、1998年長野オリンピックが開催された98〜99年シーズンの2万8799人が最大で、2021〜22年シーズンは1万6219人に減少している。

 現在、国内の男子のチームはレッドイーグルス北海道、東北フリーブレイズ、栃木日光アイスバックス、横浜グリッツ、そして、ひがし北海道クレインズ。この国内5チームが参加する、国際リーグ「アジアリーグ」も縮小傾向だ。

 2016〜17年シーズンは日本、中国、韓国、ロシアの計9チームが所属していたが、2022〜23年シーズンはコロナ禍などの影響でロシアのサハリンが出場を休止し、参加は日韓の計6チームに。加えてコロナ禍の影響で観客は戻らず、入場者数が1000人に届くことはわずか。競技の人気は世界ランキングとともに低空飛行だ。