(英エコノミスト誌 2022年11月5日号)
ショルツ首相が優良企業幹部を引き連れて中国を公式訪問した。
政府のトップが慣例的に行う就任後初の外国公式訪問が国内外でこれほど注目されるのは近年では珍しい。
ドイツ社会民主党所属のオラフ・ショルツ首相が11月3日に北京を訪問した際、新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来初の西側首脳による訪中となった。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が同行を望んだが、習近平国家主席が中国共産党では異例の総書記3選を果たした直後の訪問は好ましくないと主張した。
ショルツ氏はこれにナイン(ドイツ語でノー)と言った。
代わりに製薬大手メルク、エンジニアリング業界の巨人シーメンス、欧州の自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)など、ドイツの優良企業12社の最高経営責任者(CEO)を引き連れての訪問となった。
独裁的な国家への経済依存
ドイツではここ20年間、自国企業の利益がほかの諸問題をそっちのけにして国の対中政策を形作ってきた。
ショルツ首相に随行した企業経営者は、そのスタイルがまだ健在であることを示唆している。
ロシアによるウクライナ侵攻により、攻撃的なイデオロギーを礎とする独裁国家に経済的に依存すること(ドイツの場合は、ロシアの化石燃料に頼ること)の危険性をまざまざと見せつけられたにもかかわらず、だ。
欧州諸国の政府の間では、欧州は中国との経済的なつながりを再考しなければならないというのが新たなコンセンサスになっている。ドイツ国民の多くもそれを受け入れている。
「中国の政治システムはここ数年で大幅に変わったのだから、我々の対中政策も変わらなければならない」
ショルツ内閣に同盟90・緑の党から加わっているアンナレーナ・ベーアボック外相は11月1日、訪問先の中央アジアでこう語った。
しかし、ドイツ株式会社は新たな現実に目を開くことを渋っている。