(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
2022年10月31日、韓国がポーランドに韓国型原発「APR1400」を輸出することが内定した。輸出が実現すれば「K-原発」史上初の欧州市場進出になるという。
この日、ソウル市内のホテルで、原発開発計画樹立のための両国企業間協力意向書および韓国産業部とポーランド国有財産部間の了解覚書締結式が行なわれた。ただし、これらを締結したからといって受注が正式に決まったわけではなく、原発基本計画を共に準備するなど、最終契約に近づいただけだそうだ。
韓国が誇るAPR1400とはどんなものなのか。韓国版ウィキペディア「NAVER知識百科」には次のように紹介されている。
1992年から10年間、韓国水力原子力などが2300億ウォン(約240億円)をかけて開発した次世代原発モデル。発電容量は1400メガワット、設計寿命は60年、発電原価は従来モデル(OPR1000)より10%以上削減。特に、2011年の福島原発で発生した事故を予防できる多重安全装置を備えているというのが大きな特徴──。
APR1400の輸出は「脱原発廃棄」を掲げた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権初の原発輸出であり、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2009年にUAE(アラブ首長国連邦)と輸出契約を結んで以来13年ぶりとなるそうだ。
この事業は、ポーランド最大の民間発電会社であるZEPAKが2023年に閉鎖する石炭発電所敷地に、1.4ギガワット級の原発を2から4基建設するものだ。場所はポーランドの首都ワルシャワから西側に約240キロ離れたパトヌブである。
韓国水力原子力、ポーランド国営電力企業PGEとZEPAKそれぞれが事業を推進し、両国政府は原発協力を強化、これを後押しする。
原発1基当たりの建設費を5兆から7兆ウォン(約5000億円から7000億円)と推算すれば、全体の受注額は少なくとも10兆ウォンから最大30兆ウォン(約1兆円から3兆円)に達する見通しだという。2009年、UAE原発4号機の受注額は計186億ドル(約27兆5000億円)で、当時の為替レート基準で21兆ウォン(現在の貨幣価値で約2兆2000億円)だった。
両国は2022年末までに所要予算と資金調達方式し、予想工程などが盛り込まれた開発計画を樹立、2026年以前に工事を始める方針を示している。