各社一丸の取り組みも、本末転倒な「依存症対策」
生粋のパチンコ・パチスロファンの筆者は、スマパチ・スマスロの導入がかつての流れを踏襲することになるのではないかと危惧している。
演出や筐体は派手になる一方、規制により反比例するかのように減る出玉性能。打ちたい、打って楽しいと思えるような機種がなくなり、全く店に足を運ばない時期もあった。馴染みの店はいつしかガラガラになり、全盛期のパチンコを楽しんでいた分、終焉をまざまざと見せつけられるようで寂しい思いをした。
業界に少しでも活気が戻るのであれば、個人的には射幸性の高い台は大歓迎である。だが一方で、過度に射幸心を煽るような遊技機は、家賃や生活費まで注ぎ込み、キャッシングも限度額まで借りてしまうほどのめり込んでしまう人がいるのは事実だ。
次世代遊技機として画期的なシステムを備え、緩和された出玉性能でファンの呼び戻しに期待をかけていることは、各社一丸となって取り組んでいることからもうかがえる。しかし、依存症対策強化のはずが本末転倒になってしまっているような気がしてならない。
パチンコ産業は約21万人(2019年時点)の雇用規模があり、彼らにも生活がある。疲弊した業界を立て直すためには緩和も必要ということだろうか。
スマート遊技機の設置は初期費用がかさむため、導入が苦しい零細ホールもあると聞く。資金力では太刀打ちできない大手に客を奪われ、おそらく淘汰されるホールも出てくるだろう。他方で、異業種からの参入や小規模なコンビニ型店舗の登場といった期待もあるようだ。
射幸性と依存症とのバランス、今後も難しいかじ取りが続きそうだが、鳴り物入りの次世代遊技機によってパチンコ業界がどのように変わっていくのか注視していきたい。