9月27日、安倍晋三元首相の国葬の後、弔問の海外要人を招いた東京・元赤坂の迎賓館にて、インドのモディ首相を出迎える岸田文雄首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 9月27日に行われた安倍晋三元首相の国葬は、そもそも行うべきかどうかについて侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があったり、「友人代表」として弔辞を読んだ菅義偉前首相の「一世一代のスピーチ」が感動を呼んだりと、多くの話題を提供して終わった。

 東アジアウォッチャーである私から見れば、どの国が日本を、真のパートナーと考えているかが、目に見える形で明らかになった気がする。「安倍国葬」は、いわば日本と他国との「距離感」を見るリトマス試験紙のようなものだった。

主要国トップが「国葬」への参列見送る中、駆け付けたモディ首相

 まず、日本がアジア唯一のメンバーで、安倍元首相が実に9回も出席しているG7(先進国)の6カ国からは、誰もトップが来なかった。カナダのジャスティン・トルドー首相だけは出席を公言していたが、結局、ハリケーン被害を口実に欠席した。

 近隣のアジアに目を転じると、隣の韓国は、韓悳洙 (ハン・ドクス)首相が参列した。本来なら尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が自ら来たかったのだろうが、韓国国内には反日派も多いだけに、これは致し方のないところだった。

 台湾も、本来は蔡英文(さい・えいぶん)総統自らが、来日したがっていたと聞く。安倍元首相とは日本でランチをともにし、心が通じ合う仲だったからだ。安倍元首相は首相退任後、台湾訪問を切望していた。だが、中国の圧力があってかなわなかった。

 その台湾からは、王金平(おう・きんぺい)元立法院長が来日した。王氏は昨秋、日本政府から「旭日大綬章」を授賞されるなど、日台関係の発展に貢献した台湾政界の大物として知られる。