遼寧省を視察した中国の習近平国家主席(資料写真、2022年8月17日、写真:新華社/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 金融と政治の間には密接な関係がある。共産党独裁の国である中国であるなら、それは尚更のことだ。中国で金融に携わる人々は細心の注意を払って政治の動向を見つめている。

 今年(2022年)は5年に一度の共産党幹部の交代の年に当たるために、例年にも増して北戴河(ほくたいが)会議に注目が集まった。北戴河会議は秘密会議であるがOBが多いことから、そこで話された内容はどこからともなく漏れ出てくる。早耳は金融界で生き残るための必須条件であり、金融関係者は漏れてくる情報の収集に躍起になる。仲間内での情報交換も盛んだ。

 そんな中国の金融機関に勤める中国人の知人に話を聞くチャンスがあった。そこで聞いた話は、日本で流布している話とは違う部分が多い。それはこんな話だった。

北戴河会議での習近平の反論

 習近平が3期目に入るのは間違いないが、習近平は強くない。習近平は北戴河会議に向けて用意周到に準備を進めてきたので、余裕で会議を乗り切ることができると見られていた。しかし、会議が始まると習近平は多くのOBから激しく攻撃された。その論点は次の4つになる。