渡部陽一「1000枚の戦場」より、スーダンの子ども

 アフリカ北西部の国「スーダン」。長年続く紛争と、その犠牲者が集まる難民キャンプ、日本とスーダンの関わりとは――。

 ウクライナ戦争が続く中、世界にはその他にも紛争、内戦が続く国や地域が存在する。

 カメラマン生活30年あまりで撮影してきた渡部陽一氏。

 撮ってきた戦場の写真と共に、争いの背景、そこにある現実、その地域の魅力などについてWEBメディア〈シンクロナス〉『渡部陽一 1000枚の「戦場」』で配信する。多くの人に知ってほしい「忘れ去られた孤島」スーダンとは?

アフリカ・スーダンの、忘れ去られた孤島「ダルフール」

 戦場カメラマンの渡部陽一です。

 今回は個人的に大好きな国であり、“戦場カメラマン”という僕の土台をつくるきっかけとなった「アフリカ」。その北東部に位置する「スーダン」という国を、ぜひ皆さまに知ってほしいと思っています。

 アフリカの中でも1、2位を争う大きな国土を持つスーダン。その西部一帯の「ダルフール」という地域では、土地や水資源をめぐる争い、そして民族による争いが絡み合った「ダルフール紛争」が、2003年から今に至るまで続いています。

 “忘れ去られた孤島”と呼ばれるダルフール。首都のハルツームとも距離が離れており、さらには土漠地帯(目の細かい土の沙漠)に覆われていて、なかなか陸路で越えて行くことができない場所です。

 さらにスーダンという国は、1989年~2019年までオマル・ハサン・アフマド・アル=バシール大統領の強権体制・独裁政権下にありました。外部メディアがスーダンで取材・撮影をする、ましてやダルフールの民族衝突の現場に入ることはなかなか難しく、情報を外部に引き出すことができない。それが“忘れ去られた孤島”と呼ばれる所以です。