1000枚の戦場より。真ん中が渡部陽一氏

 ウクライナ戦争だけではない、世界ではいまだに紛争、内戦が続く国や地域が多くある。その現実と、戦地の日常を撮り続けるカメラマン・渡部陽一。

 30年あまりで撮影してきた戦場の写真と共に、争いの背景、そこにある現実、その地域の魅力などについて解説する『渡部陽一 1000枚の「戦場」』をWEBメディア〈シンクロナス〉で配信している。

 今回はその中「カメラの進化」と「戦場カメラマンの壁」を紹介する。

(構成/林貴代子)

2000年頃にあったひとつの「壁」

 こんにちは、戦場カメラマンの渡部陽一です。

 今回は、個人的にカメラマンとしての大きな線引きとなった「2000年の壁」。90年代から2000年代に入るミレニアムのこの「壁」とは、なんなのか? そんな話をお届けします。

 その壁とは、ずばり「カメラ」です。

 90年代までの「フィルムカメラの壁」。2000年以降の「デジタルカメラの壁」。このフィルムとデジタルという線引きが、2000年頃を境にひとつの壁として姿を見せ、僕はこのミレニアムの壁に揺さぶられながら、徐々に、徐々に、フィルムからデジタルへとシフトしてきました。

 では、具体的にどんな変化や違いがあったのか?