グローバルな金融緩和局面が続いている。政策金利水準がまだ0%台まで距離のある国の中央銀行総裁がゼロ金利になる可能性の有無に言及する機会も散見されるようになった。9日の中国紙によると、中国人民銀行の易副総裁は、ゼロ金利は中国にとって最良の選択肢ではなく、利下げの余地は限られる、との見解を示したという(3月9日 ダウ・ジョーンズ=共同通信)。スイスのように、量的緩和に踏み込む国も増えつつある。

 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は12日、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR)を0.5%引き下げて、年3.0%とすることを決定した。昨年7月に利下げに転じるまでは年8.25%と、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国で最高水準にあった同国の政策金利水準は、その後の6回連続利下げで半分未満になった。隣国であり最大の貿易相手国であるオーストラリアの政策金利は、3月の理事会で据え置かれたため、現在は年3.5%。ニュージーランドの方がオーストラリアよりも政策金利が低くなっているわけだが、その最大の理由はニュージーランドの方が景気の落ち込みがよりきついという点にある。ボラードRBNZ総裁は公表文の中で、「いくつかの国々のようにゼロに近い政策金利(near-zero policy rates)にニュージーランドがなるとはわれわれは考えていない」とコメントした。かつての高金利通貨の代表格が、いまやゼロ%台への政策金利低下観測を否定しなければならないことは、実に印象的である。同総裁はその後CNBCに出演し、状況が悪化すれば政策金利が2.5%を下回る可能性がある、と述べていた。

 

 日本時間12日早朝に伝わったが、時差の関係で11日に決まったのが、ブラジル中央銀行の1.5%利下げである。同行の金融政策委員会は全員一致で、政策金利(Selicレート誘導目標)を年11.25%とした。年初には年13.75%だったものが、1%幅と1.5%幅の利下げを経て、過去最低水準に並んだ。ブラジル経済は昨年10-12月期の実質GDPが前期比▲3.6%になり、マイナス成長に転落。OECD総合先行指数からみて先行きも明るくない。利下げは今後も続くものと見込まれる。