ノルウェー・オスロでノーベル平和賞授賞式に出席したバラク・オバマ米大統領(当時)(資料写真、2009年12月10日、写真:代表撮影/AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 前回の本コラムで、日本が採るべき核戦略は「非核重武装永世中立」であると述べた。単に「永世中立」を打ち出して日米同盟から離脱した場合には、かつてマッカーサーが日本に押し付けようとした「非武装中立」を押し付けられて新たな属国化への道を歩みかねない。

 そのため、日本自身の防衛にとって必要不可欠な範囲に限定しつつも、最も強力なレベルの自主防衛能力を備えた「重武装中立」でなければならない。

◎(前回コラム)「日本が軍事的属国を脱して自主防衛国家になる『非核重武装永世中立』という道

 重武装といっても、アメリカのように世界中に築き上げた覇権を維持するために世界各地に軍事的圧力を加えることが可能な大規模な軍事力を意味するわけではない。あくまでも日本自身の国防、すなわち「日本の領域は自力で防衛し、日本の海洋交易も自律的に防衛できる、といった範囲において最大規模の少数精鋭軍事能力」を重武装と呼称するのである。

 現在の日本の軍事能力は、アメリカの軍事的属国状態が続いてきている。それゆえ、とても日本自身の国防をある程度自律して全うすることが可能な姿からは程遠い。したがって、現存する自衛隊や海上保安庁の組織編成や規模などの抜本的改変が必要不可欠であるが、それに先立って適切なる自律的国防戦略の構築が急務と言えよう。