大きな猫が歩いていました。前編で紹介したオレンジ兄貴よりも派手な色合いで、「赤」と表現したほうが合いそうです。この赤くんは、急ぎの用があるようで、立ち止まることなく行ってしまいました。

 北欧といえば、バイキングを思い出します。

 エンジニアの仕事を定年退職して、いまは釣りや舟遊びを楽しんでいるという男性に話を聞きました。

「この町に古くから暮らす人の祖先は、私を含めてほぼバイキング。バイキングには、いいバイキングとわるいバイキングがいて、猫を船に乗せているかどうかで見分けるんだ。いいバイキングは猫を乗せていて、猫といっしょに家に帰らないといけないから、無茶なことはしない。ドラウエアのバイキングはいいバイキングだったから、その伝統で、いまでもこの町の人は猫を飼い、大切にしているのさ」。

 ドラウエアは小さな漁港です。以前は、その日に捕った魚を漁師さんが港で売っていましたが、いまは食品衛生法によって屋外での販売が禁止されています。

 ここは、漁港近くの漁師小屋が集まる区画です。網や縄、仕掛けなどの漁具の整備をここでしています。趣味の部屋として使っている人もいます。