生前から「遺品整理」を業者に依頼する人たち
通常の清掃とは違い、孤独死などで放置された遺体のあった部屋や、ゴミ溜めとなった家の清掃を行う特殊清掃という仕事。その依頼が多くなるのはどの季節かご存じだろうか。
特殊清掃や遺品整理などを行う株式会社グッドサービスが発表した「孤独死現場」に関する調査(2021年実施)によれば、特殊清掃の稼働が多い時期は、「冬(38.5%)」「夏(35.3%)」「春(16.8%)」「秋(9.4%)」の順だ。
同調査では、「孤独死を起こしやすい季節は冬と夏で、その原因として熱中症や脱水症、寒さから持病の悪化や年齢からくる突然死といったものが多い」と分析している。特に今年の夏は猛暑に加え、電力不足からくる節電要請もあり体調管理に一層の注意が求められる。
しかし、いくら注意を払っていたとしても避けられない死もあるだろう。それが一人暮らしで、誰も訪れる予定のない自宅だったらどうなるだろうか。独身の一人暮らしである筆者にとっても、孤独死は他人事ではなく将来への不安は尽きない。できることならば、可能な限り誰かに迷惑をかけることがないように備えておきたい、そう考えている人も少なくないだろう。
では、今できる対策にはどのようなものがあるのか。首都圏を対象に特殊清掃のほか遺品整理・残置物処理などの業務を行うA社に勤務する高橋実さん(30代男性・仮名)に話を聞いた。
「実は、遺品整理・残置物処理、特殊清掃といった自分の死後の手仕舞いについては、生前に契約しておくことができます。弊社でもご依頼があれば、顧問弁護士を交えて個別に対応させていただいております」
自分の遺品整理について、生前に予約・契約しておくというのは一見単純なようで、実は複雑な問題が絡んでくる。遺族・相続人の希望や遺言書との相違が次々と出てくるからだ。
生前に依頼を受けた業者だからといって勝手に処分・清掃することはできない。生前に予約・契約しておくことで残された人の負担が減る、自分も安心できるというメリットがあるが、いざその時が訪れた際に契約した会社が存続しているかどうか、という問題もある。自分の死後、本当にきちんと遺品整理をしてもらえるのかという不安もあるだろう。そういった懸念事項を少しでも取り除くため、弁護士など法律の専門家に間に入ってもらう必要がある。
特殊清掃を伴わない通常の遺品整理の依頼は、主に遺族や相続人、遺族らの相談を受けた弁護士や行政書士から入るという。一人暮らしのワンルームなどが多い特殊清掃とは異なり、ほとんどが一軒家のような広い物件で、「親族だけでは片付けきれない」「遠方に住んでいるために時間が確保できない」「何から手を付けていいのかわからない」などの点から業者を頼るようだ。住人が亡くなって以降、放置していた住居を片付ける場合もあるという。