「ダツェ」は、ブータン伝統の弓道で、男性たちの間でもっとも親しまれているスポーツです。町の中心にあるダツェ競技場では、日曜日の朝、市民チームの試合がおこなわれていました。1チーム5人で的を射て、点数を競う競技ですが、的はおよそ140m離れたところにあります。オリンピックのアーチェリーの距離が70mですから、ダツェの的は2倍も遠いのです。実際、的を探しても、見つからないくらい遠いところにありました。

 ここは、ティンプーの東にあるドチュラ峠です。背景に見えるのは仏舎利塔で、108基あります。犬の上に万国旗のようにはためいているのは、ルンタと呼ばれる5色の小さな旗で、経文が書き込まれています。

 健康、長寿、幸福や平和への祈りを込めたルンタは、見晴らしがよい高台や風が吹く場所にかけられています。それは、遠くまで祈りが届くようにとの思いが込められているからです。ルンタの近くは、空気が清浄だから心がきれいになると信じる人も多いとか。ルンタを仰ぎ見ていた犬は、穏やかな表情に見えました。