そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。

途上国への投資をストップできない中国の立場

 それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。

 だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。

 昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。

 その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。