7.一時停戦ラインはどこか

 米欧諸国は「この戦いは長期戦になる、消耗戦になる」といった見方をしている。

 ウクライナ軍が本格的な反攻作戦を実施すれば、ロシア軍はハルキウ正面とへルソン正面を死守することはしないで、後退する可能性がある。

 反攻する時期は、やや遅れて、多連装砲の「ハイマース」が前線に届く6月末になるかもしれない。

 反攻を開始さえすれば、ロシア軍の砲兵部隊を上手く叩くことで、戦闘の進展は早いだろう。ロシア軍の士気が低いことも併せてそうなる可能性が高い。

 7月の終わりから、遅くとも8月頃には、一時停戦ラインが見えてくるのではないだろうか。

 最も可能性が高いのは、②のラインだろう。

 ウクライナ軍の作戦が上手くいけば、③まで進むことができる。

 ロシアは、米欧の経済制裁では、ロシア経済を崩壊させることはできないと強気だが、戦線が膠着して動かなくなれば、停戦交渉に臨まなければならなくなる。

 長引けば、ロシアにとっても不利になるからだ。

 ロシア軍に対して無理に攻撃を命じても、ロシア軍は動かないだろう。プーチンも、どこかで終わりにしたいはずだ。

 ロシアにとっては、現在の接触線を固定することが、領土的には最も有利なのだが、プーチンの面子が立たない。

 ウクライナは、これまで犠牲を払って戦ってきたので、現在の接触線で終わるわけにはいかない。できる限り、国境線まで近づきたいのだ。できればクリミア半島も奪回したいところだ。

 ここで奪回しなければ、永久に国境線が固まってしまい、今後取り返すことはできないだろう。