その昔、季節になると私は足しげく駿河湾の海岸に通って、試行錯誤しながら一つの釣り方として形にしたことがあります。
対象魚は「トビウオ」。
20年ほど前、沼津の片浜から原に向かう海岸ではどこでも狙えたこともあり、当たり前のように季節恒例の釣りとして楽しんでいました。
当時は顔見知りの常連さんも海岸で見かけ、お互いに情報交換をしていた記憶もあります。
最近になって、洋上で滑空するトビウオの姿を見るに、久しぶりに広大な沼津の海岸でトビウオに出会ってみたくなりました。
早速、昨今のトビウオ釣りの状況をネットで検索してみるのですが、専門に釣行している情報はほぼ皆無で、今ではすっかり廃れてしまったかのようです。
今回は、少し変わった「トビウオ釣り」を20年ぶりの実釣とともにご紹介させていただければと思います。
今では海岸へのアプローチも含め、手間のかかる釣りとなった感もありますが、トビウオも釣りの対象魚であること、そして広大な海岸で自然と一体となって遊ぶ一つの「味わい」として、お伝えできれば幸いです
トビウオの生態と回遊地域
トビウオは東シナ海から黒潮に乗って回遊してくる沖の魚です。そんなトビウオが季節になると駿河湾の沿岸に回遊してきます。
駿河湾には沼津から富士川に向けて、全長約20キロに及ぶ長大な海岸があります。
この海岸の特徴は、エリアの多くが沖に向かって急激に落ちて行く、いわゆる急深の海岸になります。
こういった地形の特徴から、大型の回遊魚をはじめ、多種多様な青物が足元まで回遊してくる地域となっています。