5月19日、ワシントンのホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領(左)とハグするスウェーデンのマグダレナ・アンデション首相(中央)とフィンランドのサウリ・ニーニスト大統領(右)(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 プーチンにとって、これは耐え難い事態だ。

 5月18日、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請した。両国にとって、安全保障政策の大きな方針転換であるとともに、ヨーロッパの戦略環境も変化する。

 ただNATO加盟は、30の全加盟国の賛成がなければ実現しない。そして今、トルコが両国の加盟に反対を明言している。その理由は何なのか。そして、今後のNATO内の協議はどうなるのか。

ドンバス州-クリミア-ヘルソン州の回廊

 ウクライナ軍が激しく抵抗していたマリウポリで、製鉄所に立て籠もっていた兵士たちが投降した。ロシア国防省によると、その数は1730人にのぼるという。これでマリウポリは陥落したとみてよく、これによりロシアから見れば、東部のドンバス州、クリミア、ヘルソン州を結ぶ回廊が繋がったことになる。ロシア軍はさらにこの回廊を伸ばすため、オデーサ、そしてモルドバの親露派地域である沿ドニエストル共和国を目指す動きを加速化させるであろう。

 一方、ウクライナ軍には、NATOから最新鋭の兵器が大量に供与されており、抵抗はさらに強まると予想される。

 現在、両国間の停戦交渉は全く進んでいない。ロシア側によると、ウクライナ側が一方的に打ち切ったという。今後の交渉の展開は予断を許さないが、戦争が長期化することが危惧される。