試乗したレクサス「LX600」(都内の公園にて筆者撮影)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 レクサスが大きく変わろうとしている。クルマづくりの基本的な考え方が変化し、さらにBEV(電気自動車)フルラインアップ化に向けた製品戦略が加速しているのだ。

 トヨタはレクサスならではの乗り味を「Lexus Driving Signature」と称し、これを継承・深化させることを次世代に向けたレクサスの製品戦略の基盤と捉えている。新世代レクサスの基点となるのが、2021年10月に国内販売された新型「NX」だ。

 新型「NX」が世に出る2年前の2019年11月、筆者はトヨタ東富士研究所(静岡県裾野市)でレクサス幹部や開発者らと、レクサスブランド全体に関する意見交換をした。議題となったのは「これからのレクサスのあるべき姿」だった。意見交換とともに、様々なモデルや技術を具体的に見て、触って、そして乗ることで、トヨタ社内用語で「量産」を意味する「号口(ごうぐち)」に向けてレクサスがいま何を考え、これからどのような方向に歩もうとしているのを、肌感覚で理解することができた。

アメリカで始まったレクサスブランドの展開

 では、なぜいまレクサスは変わらなければならないのか?