米国ワシントンで開催された労働組合のイベントに出席したバイデン大統領(資料写真、2022年4月6日、写真:AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国バイデン政権の国防政策に、米軍のトップが造反の態度をみせた。

 米軍統合参謀本部議長が、バイデン政権の海上発射巡航核ミサイルの開発中止に対して公開の場で反対の意見を表明したのだ。しかも他の最高位司令官たちもその反対に同意した。

 バイデン大統領としては与党の民主党内の軍事忌避勢力に従った決定だったが、ロシアや中国の核戦力強化の現状に対して軍部が自国の核抑止態勢の弱体化を懸念しての動きだとみられる。 

小型核弾頭を搭載する「SLCM-N」

 マーク・ミリー米軍統合参謀本部議長は4月5日の連邦議会下院軍事委員会の公聴会で、バイデン政権の海上発射核巡航ミサイル「SLCM-N」(Sea Launched Cruise Missile-Nuclear)の開発中止決定には反対であり、開発の継続を求める、と証言した。

 ミリー議長は反対意見はあくまで私見だと述べたが、議会の公式の場で最高位の現職軍人が政権の国防政策への反対を表明することはきわめて珍しい。

マーク・ミリー米軍統合参謀本部議長